手話のわからない私は、「障害のある人」であった。産経ニュースの、【日曜に書く】というコーナーからです。
手話のわからない私は、「障害のある人」であった。
論説委員・佐野慎輔さんより。
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障害は人にあるのではない、環境にあるのだ 論説委員・佐野慎輔
ふたりの女優は、手話と口語で会話を交わす。実際、出演者のひとりはろう者で耳の聞こえないハンディキャップを克服、女優の道に進んだ人である。 芝居は実にテンポよく進んでいく。 そして、場内には時折、大きな笑いが起きた。 私は手話がわからない。手話がわからないのにストーリーに引き込まれていく。 仕掛けがあった。手話で交わされる言葉は音声ガイドで訳が流されるのだ。 この芝居、障害のある人もない人も一緒になって楽しもうという趣旨で催されたイベントのひとつであった。 会場は「耳の聞こえない人・聞こえにくい人」「目の見えない人・見えにくい人」「車いすにのった人」「盲導犬を連れた人」など、さまざまな観客であふれていた。さまざまな障害のある観客に対応すべく、「手話通訳」「要約筆記」「音声ガイド」「音声補聴」「点字プログラム」に、電動車いす用の充電システムや補助犬用のスペースまで用意されている。さらには、情緒が不安定な人とその介助者のために特別な「鑑賞スペース」まで設けられていた。
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