「ろう学校の幼稚部」コラムNo1 (Reem Mohamedさん)
私は、普段は会社に勤め、時々中近東情勢をブログに載せています。
私がろう者ということを知らない方からは、「ジャーナリストですか?」という質問を頂くが、そういう風に思われていることはとても嬉しい事であります。
しかし、残念ながら堂々と胸を張って「はい!そうです!」なんて言えない(笑)
そんなことは、さておき、自分の事を書いてみようと思います。
私は、先天性風疹症候群による先天性の聴覚障害者。
つまり、母が私を妊娠中に風疹にかかってしまい、それが原因で私の耳が聞こえなくなったということである。この事実を知っていたのは、父だけだったらしく母が入院中に医者からの告知を受けたそうだ。
母は、産後までずっと全くこのことを知らずにいたらしく、ただ祖母だけがなんかこの子はおかしいと怪しんでいたそうだ。
やがて、大きな音に反応しないということに、母は気づき色々な病院に連れていっても結果はどこも同じだったそうだ。
「手術することは出来ません。一生治りません。」
母は、私を道連れにして自殺しようとまで考えるほど打ちのめされたと、後で教えてくれた。
三歳でろう学校の幼稚部に入学すると、そこにはもう言葉では言い表せないほど厳しい壮絶な戦いが待っていた。この頃の、私と言えば補聴器になれずつけるのを嫌がって投げていたらしい。。。。
この時は、別に「口話至上主義」ではなく、小学生から高校生のお兄さん、お姉さんは手話で会話をしていたから、当然子供たちも手話で会話をしたいと思うわけである。しかし、私たちの時に手話禁止になったのである。
担任の先生が、親たちに「お父さんお母さん、大変心が痛むと思いますがこの子たちの将来を見据えて考えて欲しい、今後、手話が使える人が増えたとしてもわずかに過ぎない、この子たちがコミュニケーションで苦労すると思います、だから手話を使わないで下さい」的な事を話され、それからというもの、発音の訓練、聞き取りの訓練、読み取りの訓練が始まった。
家に帰ってからもそれは同様で正しい発音が出来るまで泣いても何回も繰り返し繰り返し言わなければならなかった。「なんで出来ないの!」ってぶたれたこともある。
絵日記を毎日書くことが習慣で、文章も助詞を間違うと「ちがうでしょ!!!」って鬼のような顔で言われたこともあった。大泣きしても、その訓練は終わることは無かったから、親をたたいたりして癇癪を起こして物を壊したこともある。
※あとで祖母が「あんたのお母さんはな、ここに来ては泣いていたんだよ、なぜここまで厳しくしないといけないのかって」って教えてくれたので、父も母も本当は辛かったんだなって思ったのです。
しかし、訓練の時間が終われば楽しいこともいっぱいあったので、それだけは幸いだったと思う。父と、車に乗って旅行に行ったりそこらへんの子供と同じように買い物に行ったり家の近くが海だったので、色んな魚や貝を捕ったりしたこともあった。
私は、昼までろう学校の幼稚部に通って、家に帰ったら今度は近くの公立の保育所に通うというコースだったから、保育所でのクラスメートとは言葉が通じないことからしょっちゅう喧嘩をしていたらしいが、都合の悪いことは忘れるというもので覚えてなかったりする。(冷や汗)でも、今でも当時のクラスメートとは帰省すれば会って話す事もある。
保育所の時の友達と一緒に同じ小学校へ行くものと思っていたが、親はろう学校の小学部にそのまま行った方が望ましいと考えて、ろう学校の小学部へ。
そのまま、高等部までずっとろう学校で過ごし、大学に進学して国際比較文化や国際情勢などを専攻。
この時の話は、あまりにも長すぎるので後日に書こうと思う。
今では、手話も出来ますが普通に読み書きも出来て会話が出来るので親に感謝の気持ちでいっぱいです。
もし、親が心を鬼にして訓練をしてくれなかったら話せないままだったかもしれません。
ところで、よく、子供をろう学校に入れるべきか?普通の学校に入れるべきか?で揉める話を耳にしますが、大変難しい問題だと思います。
なぜなら、そこに「正しい」か「間違い」かという答えは無いから。
特別支援学校、ろう学校とも色々と繋がりながら、お子さんの聴力、学力、理解度なども合わせていかれたらいいと思います。
私は、ろう学校に通っていなかったら大学に行けるレベルに達していけなかったと自分の経験からそう思っています。(あくまでも、これは私のレベルでという話です)
インテグレーションも、(普通の学校へ行く)並大抵の努力がなければ、ご両親や周りの方のサポートがなければ決して楽では無いと思います。
特に、普通の学校では、中学生になると授業の内容も困難になり小学校と比べてスピードも早くなっていくので、理解が出来ないまま進んでいくとどんどんわからなくなり、孤独感を感じていくという話も聞きますので、その点では、ご両親の方、先生のみなさま、さりげなく今はどのあたりを理解出来たかな?など尋ねてみてください。
「ろう教育」についても、こちらのコラムでまた書かせて頂きたいと思います。
長くなりましたが、今日はこの辺で。
何か、質問や聞きたいことがありましたら、遠慮無くメッセージを下さい。
Reem Mohamed
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