個人情報保護について 福知山市の消防職員は朝礼(朝の申し送り)で、手話であいさつの練習をしている。「おはようございます」「いらっしゃいませ」-。市消防本部全体(福知山消防署、東分署、北分署)で、5、6年ほど前から続く。これは「手話の必要性を感じてほしい」と、山崎真治さん(55)=北分署分署長補佐兼警備第一係長=の提案で始まった。■問い掛けに応じない傷病者■
「お名前は?」「どうされましたか?」-。1981年に市消防本部に採用されたばかりで駆け出しだったころ、山崎さんは救急出動した現場で、意識がある傷病者に何度も問い掛けた。
ところが、その傷病者は一切応じなかった。それでも質問を繰り返すと、「耳が聞こえない」というジェスチャーをしたという。そこで初めて聴覚障害者だと分かり、「応じない」のではなく、「応じられない」ケースがあることを知った。同時に手話の必要性を強く感じたという。
一刻を争う救急現場で、傷病者のもとにいち早く駆け付ける救急隊員は、傷病者の症状を少しでも早く把握し、速やかに搬送先の医療現場へ伝えることが求められる。
筆談ができるよう、メモを取るものはそろっているが、手話ができればよりスムーズな意思疎通ができる。
しかし、若手職員だった山崎さんにとっては消防や救急に関して学ぶことがたくさんあり、どうしても手話にまで手が回らなかった。「手話のことはずっと気掛かりでした」
勉強をスタートさせたのは2006年。仕事面では一通りのことを覚え、気持ちにゆとりを持てるようになっていた。手話奉仕団体「福知山手話サークルこづち」の存在を知り、講座を通して基礎から学ぶことにした。年齢は40代半ばだった。ろう者にも教えてもらいながら、少しずつ上達していった。
そのかいあって、今では手話で日常会話ができるようになっている。
そのことが生かされたことがある。
市北部の国道でのバイクツーリング中の交通事故。そのグループは全員がろう者だった。1台のバイクが転倒し、後続のバイクも倒れ、2人がけがをした。グループのリーダーらしき人らと手話でやり取りし、状況やけがの程度などが分かり、スムーズに搬送できた。「その手話の相手は(手話ができることに)驚いた顔をされていました」
また、救急隊から要請され、ろう者の傷病者がいたことから病院へ向かっ
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