「入店拒否の店」と「神対応の店」の話題で思った事 コラムNo6(Reem Mohamedさん)
前回の「落語」と「手話」のコラムにつきましては、たくさんのメールをありがとうございました。
落語ファンの方から、手話通訳士、、、ろう者と本当に色々な方からご意見を頂いたので、自分なりにまとめてこちらに掲載出来れば、、、と思っています。
今日は、「入店拒否の店」と「神対応の店」について、ネットで見られた意見などを参考にして、私なりに思った事を書いてみました。
まず、こちらの話題について何のことかわからない!という方もいると思いますので、そこから話を始めたいと思う。
色つきの文字はリンクと繋がっています。
クリックしていただけるとリンクに飛びます。
事の始まりは、
尼崎市で開かれた近畿ろうあ者体育大会の卓球競技に出場する滋賀県の7人の選手が
2016年5月21日夜に居酒屋を予約しようと5月9日にFAXで申し込んだところ、店長から、
「当店は手話のできるスタッフはいなく、筆談での対応もしておりません」
「通訳のできる方がおられない場合、ご予約をお取りすることができません」
といった、FAXが届き、やむをえず別の店に行ったもの、選手から相談を受けた滋賀県ろうあ協会が、兵庫県聴覚障害者協会に連絡。
尼崎ろうあ協会の理事らが確認のため同店を訪問したという風になっています。
確かに、「障害者差別解消法」が成立し、実施されてもなお、まだ手話が出来るお店は少なくない。
お店に限らず、駅でも銀行でも100%当たり前に手話が出来る人はまだいないところが多い。
上の店は、チェーン店でその本部は障害者差別解消法の制定以前よりこうした問題については注意を払っていたと、話しているもようだが、なぜ本部の考えが伝わらなかったのだろうか?
次に、下のリンクをみてみると、「店が悪いとは思えない」とネット上で色々と炎上したもよう。
聴覚障害者が居酒屋の予約を断られた ろうあ団体抗議に「店が悪いとは思えない」の声が
なぜ、「店が悪いとは思えない」という考えが出てくるのだろうか?
本当に聴覚障害者の方が傲慢なのか?
店の人は、拒否して正解だったのか???
もし、肢体が不自由な人や目が見えない人が予約したときにもやはり同じように断ったのだろうか?
聞こえない=話せないという概念は、もしかすると聴覚障害者に会ったことが無い人は誰でも持っているのかも知れない。
手話が出来ないから話が通じないかも!!どうしよう!!とパニックになったのかも知れない。
しかし、
「筆談での対応もしておりません」
ということは、どういうことなのだろうか???
そのお店がどのような感じの店なのかは分からないけど、あからさまにそんな風に言われると、筆談するのも面倒だという印象を強く感じる。
大体、飲食店にはメニューが置かれているはずだから、メニューを指さしすればいいことだし、そんなに始めから終わりまで筆談するわけでもないのに?と思う。
健常者でも、よっぽとの小さな店か対面式の店でなければ、終始喋っていないと思う。
ところで、差別解消法成立前でも、「障害者手帳を持っている人は入店お断り」という出来事があったもようです。
2012年、東京地裁において、
「障害を理由とした入店拒否することは、民法90条の公序良俗違反にあたる」
といった判決が下されています。詳細は下のリンクをクリック下さい。
民法90条は、「公の秩序又は善良の風俗に反する」内容の法律行為は無効であると定める(同条にいう「目的」は、「内容」という意味である)。
公の秩序と善良の風俗は、区別されずに一括して扱われる。
二つあわせて公序良俗と呼ぶ。民法90条は、公序良俗違反、すなわち、反社会的な法律行為を無効とするが、具体的にどのような行為が公序良俗違反に該当するのかは解釈に任されている。
だから、これは法令違反であるが、本部の指導不足や店側の思いやりのなさが一番の原因だと思う。
でも、店側も謝罪したということなので、これからは聴覚障害者に限らず誰でも気持ちよくいける店へと生まれ変わることを願っています。
「神対応の店」とは?
こちらのブログの管理人の「ねこ」さんが経験された素晴らしいお話です。
※リンクを張りますので、お時間の有るときにどうぞお読み下さい。
聴覚障害の方が入店拒否されるという残念な出来事がありましたが、こちらの居酒屋の「おもてなし」は大変素晴らしいものでした。皆さんにも感動を分かち合いたいです。
「神対応の店」と私はタイトルにもそう書いたのですが、誤解を招きそうなので説明したいと思う。
先に「入店拒否の店」の話題があったために、そう書いていますが、こういう事は本当は「神対応」ではなく当たり前のことである、ということですね。
本当に、こういうことがどこでも当たり前な社会になって欲しいなと思っています。
最初に書きましたが、聴覚障害者たちを見たことはあっても、接したことが無い人は聴覚障害者でも色々なタイプの人がいるということも知らないと思います。
聞こえないから、話せない。手話で話す。言葉が通じない。などなど。。。
そうなると、「手話わからないけど話出来るのかな?」とか「どうすればいいの???」とかパニックになってもおかしくはないかなと思う。
残念ながら、そういう人は1人はいると思う。
しかし、手話は福祉ではなく、「言語」であるという条例を鳥取県の平井知事が県をあげて最初に声を出したのを皮切りに全国でもその動きが広まってきてるので、少しずつそれぞれの都道府県でも聴覚障害者についての対応などが昔に比べて大きく変わってきていると思います。
しかし、それでもまだまだ100%当たり前に至るところに手話が出来る人はいません。
手話が出来なくても、筆談やUDトークを使った音声認識や文字の指さしなど、、、、工夫すれば出来る情報保障はたくさんあります。
聴者の方も、今は聞こえていても病気や事故、加齢ともに聞こえなくなる可能性はあります。
私は、聴覚障害者をはじめ、様々な身体障害者たちは、聴者の一歩先を歩いていると思っています。
かといって、障害があるなしに関係なく出来ることでも、障害があるからそっちがやるべきだろ!と言う人をみるとそうじゃないのに。。と思うこともあります。
だから、みんなで「思いやり」と「共有」の心を常に持ってお互いに歩み寄っていけたらいいなと思います。
「ねこ」さんが行かれた「酒場やっしょまかしょ」の店長、飯鉢隆弘さんに朝日新聞がインタビューした記事がありましたので、そちらも載せます。
上の方のように、どうしたらいいのかわからないことをハッキリと聞いた上で柔軟に対応してくれる方が、これからももっともっと増えてくることを願っています!
ところで、私の経験ですが、いつもは行かないのですが、その日はものすごく暑くて冷たい物が飲みたいというのもあり、スタバに寄ったことがあります。
暑さでボーッとしていたせいか、間違ってお店の人に手話で「この飲み物を下さい」って言ってしまったのです。
※私は知らない人には手話で話しないです。
そしたら、スタッフのお姉さんが流暢な手話で「はい、かしこまりました。サイズはどちらにしますか?」と話されるではないですか!
すごく驚いて、「手話が出来るんですか?」ってつい質問を。
すると、そのお姉さんはろうの弟さんと普段から手話でコミュニケーションを取ってるということ。
手話で注文するといつもよりスムーズに早く出来て楽だし、何よりも嬉しかった!
だって、まさか手話が出来るスタッフがいるとは思わなかったし、もっともっと、手話が出来る人は「手話出来ます」っていうピンとかを止めてくれたらいいのにな、、。なんて思ってしまった。
そうすれば、聴覚障害者たちも、「あ!このスタッフさん手話が出来るんだ!」って安心して話せると思う。
さて、長くなったが聴覚障害者たちにどう対応すればいいのかわからないという方は、お近くの社会福祉協議会や市役所や手話サークルに行かれてみるのもまた一つの方法だと思います!
また、当事者に直接恥ずかしがらずに尋ねてみてください。
きっと、丁寧に答えてくれると思います。
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